是枝裕和、庵野秀明に影響を与えた奇跡のNHKドラマ「夢の島少女」
是枝裕和・川瀬直美・塚本晋也・庵野秀明・岩井俊二・瀬々敬久など数多くの映画監督に影響を与えたという佐々木昭一郎のドラマ「夢の島少女」。
話していて、琴線に触れるものが似ている人がいると、つい教えたくなるコンテンツなので、ぜひ、みなさんにも。
孤独な都市生活者の青年によって河岸から背負われて助け出される意識不明の赤いドレスの少女。彼女に何があったのか?
明らかにならぬまま、過去と現在が錯綜し、フラッシュバックしながら物語は続く。
劇中、アドリブとも演技とも素の記録ともみられる、不思議なシーンがある。なんの変哲もないシーンだが衝撃的だ。説明的な構成はなく、ただパッヘルベルの『カノン』が状況を物語としてつないでいる。
ヒロイン役の中尾幸世という無垢な逸材がもつ声、表情、気配に、都会と社会の欲望と絶望が映し出され、観る者の心の柔らかな部分に刺さる。40年前のNHKで放映されたというのが驚き。
「夢の島少女」1974年
演出:佐々木昭一郎 作:鈴木志郎康、佐々木昭一郎 主演:中尾幸世 音楽:池辺晋一郎
Youtubeでも観られます。
https://www.youtube.com/watch?v=N7eqUI3M6Gk&t=486s
*番組詳細
川のほとりで少年が意識不明の少女を助ける。少女は目覚めるが2人の間にほとんど会話はなく、少女の記憶として過去が浮かび上がる。心に傷を負った少女と孤独な少年。少年は少女への思いを募らせ、交錯する少女の記憶の中に迷い込む。あるいは、少年の記憶なのか・・・。時間や空間の概念を超えて、感覚的に映像化した異色のドラマ。作、演出は佐々木昭一郎。ヒロイン役の中尾幸世のデビュー作品。