Postscript

編集後記のようなライター(音楽)のブログ

2018-01-01から1年間の記事一覧

『ゴーン・ガール』虚構であろうと実体としてタフに生きることの哲学を描いたフィンチャーの問題作

『セブン』『ファイトクラブ』『ドラゴン・タトゥーの女』などの話題作でも知られる映画監督デヴィッド・フィンチャー。初期作品はミラクルなロングショットや独自のカメラアングルで圧倒的な視覚体験と衝撃的な結末でマニアックな人気を博していたが、近作…

イノヤマランドの名盤『DANZINDAN-POJIDON』復活

ジャパニーズ・アンビエントのエポック 日本のアンビエント作品のエポックといえば細野晴臣が1985年にモナドレーベルからリリースした『マーキュリックダンス』というのが持論だが、遡ること2年、テクノポップとの中間領域、アンビエントの黎明期に独自のサ…

「半分、青い。」に登場する「You May Dream」とロックの夢

NHKの朝ドラ「半分、青い」のなかで、劇中、主人公たちが「それが私のすてきなゆめユメユメユメ ユメユメユメ〜」と鼻歌で歌うのは80年代にヒットした「You May Dream」。演奏するのは、ギタリストの鮎川誠と女性ボーカルシーナーが中心となって博多で結成さ…

『海街diary』的な感動を期待してはいけない!『万引き家族』という「不可視(invisible)」な人々の物語。

『誰も知らない』『そして父になる』の流れを汲む作品 第71回カンヌ国際映画祭にて最高賞であるパルム・ドールを獲得した『万引き家族』。その華やかな話題から、自ずと『海街diary』を超える傑作」という印象を持つかもしれない。華やかでなくても、「万引…

相対性理論のやくしまるえつこ アルス・エレクトロニカ授賞式でのライブ映像公開

アルス・エレクトロニカはオーストリアのリンツで開催される芸術・ 先端技術・文化の祭典で、メディアアートに関する世界的なアートフェスティバル。 その2017年のグランプリ作品「STARTS PRIZE」として、相対性理論のメンバーとして活躍するやくしまるえつ…

クィーンの伝記映画『オペラ座の夜』2018年11月公開決定

クィーンか?ツェッペリンか? 中二の夏休み。 個人的な思い出ばなし……中学2年生の夏休みのこと。 近所に住むN君という同級生と一緒にレコードを買いに 駅前の松井楽器というレコード屋へ行った。 僕が手にしたのはレッド・ツエッペリンの『プレゼンス』、 N…

脳内で組み立てるパズルのような映画。河瀬直美監督『Vision』

永瀬正敏、ジュリエット・ビノシュW主演の話題作 『萌の朱雀』で第50回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少(27歳)で受賞、『殯の森』で第60回カンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞した河瀬直美監督。 「あん(2015年)」「光(2017…

『沈黙』の源泉、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に

島原・天草一揆の舞台となった原城跡や、信仰を集めた平戸の聖地と集落などが対象 マーティン・スコセシ監督の映画(原作・遠藤周作)『沈黙』の物語のベースとなる、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されることになった(201…

細野晴臣と谷川俊太郎 NHK 『おかあさんといっしょ』で共演

表題のとおり、NHK Eテレの『おかあさんといっしょ』で放送されている。 映像作家 松本弘がアニメーションを担当。 谷川俊太郎(作詞)、細野晴臣さん(作曲)の『いるよ』、歌うのはあつこお姉さんとゆういちろうお兄さん。 編曲は細野晴臣バンドのメンバー…

『ロスト・イン・スペース』よりも『ウェストワールド』。

SNSでの勧誘がすごかったNETFLIXで『ロスト・イン・スペース』を、つい観てしまったが、とんだファミリー映画でずっこけた。 SFアドベンチャーだけど最終的には主人公達の成長と家族の絆がテーマ……。 これは1960年代の米テレビシリーズ『宇宙家族ロビンソン…

街の灯りと谷崎潤一郎『陰影礼賛』

コピーライターの仕事で照明器具カタログのライティングを担当したときのこと。手がけるカタログの冒頭では「陰影礼賛」をテーマに紙面が展開されていた。 メインビジュアルでは照明器具によって、部屋があかあかと照らされているという絵ではなく、アンダー…

シティポップに続き、海外からも注目される日本のニューウェーブシーン

海外の音楽マニアで日本のシティポップがカルトな人気をあつめていることは周知の通り。このブログでも竹内まりあの作品が新たに発掘されたこともお伝えしたわけだが、状況はさらに変化し、今度は日本のニューウェーブが注目を集めているという。 遅ればせな…

4年前の春、ラストフライトとなったボーイング747。その機長のアナウンスが美しい。

音楽やアート作品ではないが、ある意味コンテンツとなった美しいアナウンス。 しばし、耳を傾けて下さい。 4年前(2014年)の春、ジャンボの愛称で親しまれたANAのボーイング747が、最後の運航を終え退役した。 ラストフライト復路となった那覇発羽田行きNH126…

森見登美彦と近作『夜行』について

森見登美彦という謎 いまや押しも押されもせぬ流行作家となった森見登美彦だが、彼がデビューしたおり、私は雑誌にて処女作の『太陽の塔』の書評を書かせてもらった。製本される前の段階だったので、なんと校正紙を預かっての書評だった。装丁も筆者の近影や…

ウィリアム・ギブソンのMacと仕事環境

「SFの世界を具現化する」というサイエンティスト暦本純一とサイバーパンクのオリジネーターであるSF作家 ウィリアムギブソンの対談が紹介されていた。 『スプーク・カントリー』以降の近作が日本版が翻訳されず、ファンにやきもきさせているギブソンだが、…

デイヴィッド・リンチ『大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン』をつかまえた

老いていくときには、こんな人になりたいと思うのがこの人。 鬼才 デイヴィッド・リンチ。 知性と野性、戦略と混沌が破綻しながら生きながらえている感じが素晴らしい。 Amazonから鬼才の本が届いた。 『大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想…

是枝裕和、庵野秀明に影響を与えた奇跡のNHKドラマ「夢の島少女」

是枝裕和・川瀬直美・塚本晋也・庵野秀明・岩井俊二・瀬々敬久など数多くの映画監督に影響を与えたという佐々木昭一郎のドラマ「夢の島少女」。 話していて、琴線に触れるものが似ている人がいると、つい教えたくなるコンテンツなので、ぜひ、みなさんにも。…

「ヒプノシス」の謎を解くには、この一冊。完全限定2000部!

ロックの世界観を単なる娯楽からアートへシフトさせたクリエイター集団「ヒプノシス」の全作品集、その日本版が2000部、完全限定の発売となった。 YESのアートワークを担当したロジャー・ディーンやEL&Pを担当したギーガーのようなSFファンタジー&ホラー的…

HIP HOPの黎明期を体感するならNetflixの「ゲット・ダウン」と酒井Pはいった。

Netflixに契約している人がどれだけ居るかわからないが、Netflixのオリジナル映像コンテンツ「ゲット・ダウン」は契約の理由になる映像作品だ。荒廃した1970年代のニューヨークのゲットー(貧困地区)サウス・ブロンクスを舞台に、HIP HOPに熱狂する若者達を…

「世界睡眠デー」に解禁。8時間に及ぶ、眠れる音楽をストリーミング配信。

今日は春分の日だが、例年その一つ前の金曜日は「世界睡眠デー」に定められている。この日を記念し、ポストクラシックの旗手マックス・リヒターによる眠るための音楽『Sleep』が、ストリーミング配信サービス『Apple Music』や『Spotify=スポティファイ』で…

シティ・ポップの新たな出物『プラスティック・ラブ』の竹内まりあと歌声が山下達郎と似ているというトリビアについて

海外のジャパニーズ・シティ・ポップ・マニアの間で発掘された、l竹内まりやの『プラスティック・ラブ (Plastic Love)』が話題に。 80年代の日本のシティポップが海外の音楽リスナーから高い評価を得ている。角松敏生、佐野元春、山下達郎や寺尾聰、女性であ…

「君なら感じられるさ」と浅井健一は歌う

自分のなかでは嬉しい思い出。浅井健一をインタビューしたときのこと。 SHERBETSが9枚目のアルバムとなる『STRIPE PANTHER』をリリースした2018年の暮れのこと。個人的には8枚目の『FREE』がヘビロテ状態だったが、ダメ元でインタビューを申し込んだらプロモ…

金持ちの音楽と貧乏人の音楽

身も蓋もないトピックスで恐縮なんだけど。音楽には金持ちの音楽と貧乏人の音楽があるという理不尽な話。 ブルースはアメリカの黒人奴隷、ロックやパンクはイギリスの労働者、HIP HOPはN.Y.ブロンクスの貧民層の音楽として生まれた。ロックやポップスが産業…

雨の運河、あのシンガーに投影

雨の中AimerのカバーするCoccoの『Raining 』を聞いていた。 避けていた世界にリーチ 晴れた日のことを想う歌 【Amazon.co.jp限定】Ref:rain / 眩いばかり(初回生産限定盤)(DVD付)(「Ref:rain / 眩いばかり」オリジナルステッカー(Aimer絵柄)付) アーティス…

Postscriptとは編集後記。そういう視点で書く。

「オフレコを書け!」というのが私の師匠の教えだった。 インタビューはアーティストやタレント、著名人が話し終え、レコーダーのスイッチを切って、世間話になったときからが勝負だという。 インタビュー後、リラックスした雰囲気のなかでぽろっと出てくる…

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