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編集後記のようなライター(音楽)のブログ

シティ・ポップの新たな出物『プラスティック・ラブ』の竹内まりあと歌声が山下達郎と似ているというトリビアについて

海外のジャパニーズ・シティ・ポップ・マニアの間で発掘された、l竹内まりやの『プラスティック・ラブ (Plastic Love)』が話題に。

80年代の日本のシティポップが海外の音楽リスナーから高い評価を得ている。角松敏生、佐野元春、山下達郎や寺尾聰、女性であれば大貫妙子や吉田美奈子、そして竹内まりや等の面子。昨今、発掘されたのは竹内まりやの『プラスティック・ラブ (Plastic Love)』という曲で、YouTubeでの視聴回数は800万回を越えている。

 

同曲は竹内まりやの6枚目のアルバムであり、結婚後音楽活動を休止した彼女の復帰作『VARIETY』に収められたもの。1981年末にリリースされたこのアルバムでは全曲の作詞・作曲を竹内まりやが、アレンジ&プロデュースを夫である山下達郎が担当。

オリコンの週間チャートで初登場1位、30万枚以上のセールスも記録した『VARIETY』ではベーシストの伊藤広規 、ドラマー青山純など山下達郎のレコーディングメンバーが名を連ね、元上田正樹とサウストゥサウスのキーボードプレイヤーであり、中島みゆきや長渕剛、小沢健二のレコーディングやライブサポートメンバーとしても活躍する中西康晴、さらに大貫妙子もバックコーラスで参加。完璧すぎるキャスティングで練られたサウンドだ。ちなみに山下達郎はギター、ピアノ、シンセ、パーカッションを担当。

youtu.be

文句のつけようのない仕上がりだが、個人的にはあの時代の空気感とノスタルジックな感覚だけが皮膚に降りかかってくる感じで、クォリティの高さは理解できるが外国の方々ほど感銘はうけない。今の日本人には感じられない何かを海外の音楽リスナーは感じているのだろうか。普通に聞けば「なにこれ?」的な要素が満載で、シティポップの神髄!と感じられる世代はポストモダン的な感性だと思う。

 

YouTubeのコメントには竹内まりあの歌とメロディ、そしてカバーに使われた写真が素晴らしいと絶賛されていたが、「Awesome bass line. (ベースラインが最高)」。「自分はギタリストだけどこのベースラインは確かに凄い」とベースの伊藤広規のプレイも注目を集めていた。

  

この曲が発掘された経緯について、伊藤広規本人らしいkoki_ramenという人物の書き込みがインスタグラムにあったので引用。

「フューチャーファンクのリミックスに使われ原曲を調べた人たちの間で火が付き、Titanic Sinclairというミュージシャンが注目したところから更に注目されたとか。特に、ベースへの絶賛コメントが多いそうで嬉しい限りです」

www.instagram.com


そういえば、山下達郎と竹内まりあの歌声について90年代、テレビ番組『トリビアの泉』で紹介され、話題になった。

45回転の山下達郎のアナログレコードを33回転で聴くと竹内まりやの歌に聞こえ、33回転の竹内まりやのアナログレコードを45回転で聴きくと山下達郎の声に聞こえるというトリビアだ。確かに、似ていた。

 

当時、音楽関係者のY氏にそのトピックスを話したら「あたりまえやん」。一笑された。なぜかというと、アレンジ、プロデュースを担当していた山下達郎は当然のことながら歌唱指導もしていたからだそうだ。オケが出来、歌入れの際に山下達郎が借り入れする。それを、竹内まりあがなぞって歌い、細部について山下達郎が指導するという寸法。だから、2人の歌い方が似ていて当然なのだという。

 

ちなみに、歌手には専属の歌のトレーナーがついている。竹内まりあはともかく、楽譜が読めない歌手は特に、トレーナーが歌を借り入れてしており、その通りに歌うように指導されるのだという。「急に歌手の歌い方が変わることあるでしょ?そういうときってたいてい、トレーナーが替わっている」とY氏はどや顔で言った。

このY氏は実験的な分野とメジャーなシーンを行き来する人で、今後も面白いネタを振ってくれるので、お楽しみに。